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【閲読台湾】台湾、あるいは孤立無援の島の思想 民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて

愛知人文書籍ウニタ書店

おすすめの一冊


呉叡人 著/駒込 武 訳

みすず書房


 台湾の近代は、外部からの連続した支配を受け続けてきた歴史であった。清朝による支配、日本の植民地統治、そして国共内戦で敗北し雪崩れこんできた国民党による強権的支配と台湾の人々が主体性を確立することを阻んできた。しかし、粘り強い闘いを通して弾圧をはねのけ、分断を乗り越え、今日の民主主義体制を築き上げてきた。
 とは言え、国際政治の中では、主権国家として認知されておらず、激化する米中対立は台湾の不安定性を更に増加させている。
 構造的に賤民(パーリア)であることを強いられてきた、とする著者は、「台湾ナショナリズム」を梃子として、民主主義とのディレンマを抱えつつも、孤立無援の境遇からの脱出を探ろうとしている。「不屈の精神とは長期にわたって継続する勇気に他ならない」という言葉を巻頭に引用している著者の持続的思索の集大成である。