台北駐日経済文化代表処台湾文化センター発行、太台本屋 tai-tai books企画による「TAIWAN BOOKS 台灣好書」は、日本の皆さんにもっと台湾の本に触れていただきたいと願い、日本語で読める台湾作品の中から、特におすすめできる作品をピックアップしてご紹介しています。
「台湾大好きだけど、台湾作家の本は読んだことない。これから少し読んでみたい」「本を読むのは好きで、今まで読んだことない台湾の本を読んでみたい」「『歩道橋の魔術師』を読んで面白かったけど、次に何を読んだらいいかわからない」……と思っているみなさんのガイドとなれば幸いです。
『冬将軍が来た夏』(甘耀明、白水紀子訳、白水社)
「 私」は、大規模な幼稚園に勤める二十代の女性保育士。ある年の夏、音信不通だった祖母が、私に会いにやってきた。末期がんに冒された祖母は、小さなトランクに身体を折り曲げて入り、こっそり私の家に忍び込んでいたのだ。ちょうどその時、私は幼稚園の園長の息子にレイプされ、祖母は唯一の目撃者となる。私の心は傷つき、祖母が営む小型の共同ホーム―そこは廃棄され、水を抜かれた巨大なプール施設だが―の老女たち5人と老犬1匹と行動を共
にするようになる。波乱に満ちた過去と強烈な個性をもつ老女たちのバイタリティーに影響されながら、祖母の終活に寄り添うなかで、私は自分の人生に立ち向かう力を得ていく……。台中を舞台に、スラップスティックなスピードで繰り広げられる、世代を超えたシスターフッドの物語。女性総統も登場する。解説=高樹のぶ子
著 甘耀明(カン・ヤオミン/Kan Yao ming)
訳 白水紀子
2018年
白水社
2,400円+税