メインのコンテンツブロックにジャンプします

TAIWAN BOOKS 台灣好書『暗礁』(巴代、魚住悦子訳、草風館)

 台北駐日経済文化代表処台湾文化センター発行、太台本屋 tai-tai books企画による「TAIWAN BOOKS 台灣好書」は、日本の皆さんにもっと台湾の本に触れていただきたいと願い、日本語で読める台湾作品の中から、特におすすめできる作品をピックアップしてご紹介しています。

 「台湾大好きだけど、台湾作家の本は読んだことない。これから少し読んでみたい」「本を読むのは好きで、今まで読んだことない台湾の本を読んでみたい」「『歩道橋の魔術師』を読んで面白かったけど、次に何を読んだらいいかわからない」……と思っているみなさんのガイドとなれば幸いです。


『暗礁』(巴代、魚住悦子訳、草風館)

 1871年、台湾南部の東海岸で宮古島島民を乗せた船が座礁、食料を求めて森に分け入った漂着民66名は、“大耳人”と呼ばれる現地人の集落にたどり着く。集落の人びとは戸惑いながらも、困窮する宮古島民らに食料と寝る場所を提供する。
その夜、宮古島民たちは「人を殺して食う」と言い伝えられる大耳人の行動に疑心暗鬼になり、こっそり集落から逃げ出すが、それは集落の人びとにとって最大級の侮辱であった……。
物語はパイワン族(“大耳人”)の若者・アディポン、カルル、アルクと、宮古島民の青年・野原の視点から交互に語られる。著者は、のちの日本と台湾、琉球の運命を決定づけた「琉球人遭難事件」を基に、言葉や習俗の違いや未知のものへの怖れから起きた悲劇を描き、さらにそこにありえたかもしれない、人間と人間の魂が交流するドラマをも編み込んだ。


著 巴代(パタイ/Badai

訳 魚住悦子

2018年 

草風館

2,800円+税