著 黃 惠偵 Huang Hui-chen
訳 小島あつ子
2021年7月 サウザンブックス社
著者の黃惠偵(ホアン・フイチェン)はもともと葬儀の仕事に従事していたが、偶然ドキュメンタリー監督の楊力州(ヤン・リーゾウ)の映画の主人公となり、そこから監督としてのキャリアをスタートさせた。映画『日常対話』は、2017年ベルリン国際映画祭テディ賞と台北電影獎(映画賞)の最優秀ドキュメンタリー映画賞を受賞した。また台湾初のドキュメンタリー代表として第90回アカデミー最優秀外国語映画賞に出品された。『日常対話』の短編映画バージョンが『筆録 日常対話私と同性を愛する母と』で、同名の書籍として本書が短編映画と同時に出版された。
本書の中で黃惠偵は、自身のセクシュアリティを隠さない母親、父親の不在、家族、母親のガールフレンド達、そして幼い頃の思い出の中のものについて率直に語っている。これはある女性と母との和解と自己探求の物語である。一人の台湾の監督として、人生と文化の密接なかかわりを見せてくれる。