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【TAIWAN BOOKSTAR】冥王星より遠いところ 比冥王星更遠的地方


    崇凱 Huang Chong-kai
 
明田川聡士

2021
9月  書肆侃侃房

 

 黃崇凱(こう・すうがい)は台湾で最も傑出した若手小説家の一人である。現在までに四作の長編小説と短編小説集一作を著しており、2018年には台湾国際書展大賞を受賞している。『冥王星より遠いところ』は彼の長編一作目にあたる作品である。小説中の二人の主人公、末期癌の母親に付き添う文学青年、そして幸せな家庭を持つ高校の歴史教師は同じ時に小説を書いている。しかし彼らは自分達が書きあげた小説がお互いの人生そのものであることを知らない。仮想世界はワームホールのようにお互いの大脳に侵入し、二人の人生は変容を遂げ始める。「神を演じる」という究極の妄想の背後には、自分自身の人生が本物なのか偽物なのか、誰もそれをはっきりと知る事は出来ない。