暴力的な未遂犯と、記憶喪失のカウンセラーが恋に落ち、傷付いた過去が引き出される。 過去の苦痛の中では、誰が加害者で、被害者は誰?
心理カウンセラーの魏俊彦は、ある中年の婦人から自分の息子を治療してほしいという依頼を受ける。婦人は息子が殺人を犯すかもしれないと考えている。俊彦はちょっとした好奇心で一軒の書店へ向かうが、そこで出会った温和で樸訥な店長こそ、婦人が殺人を犯すかもしれないと言っていた宋柏穎その人だった。
俊彦は柏穎のことを理解するため、身分を隠して彼に接触する。お互いの好感度が次第に高まりつつあったが、このタイミングで俊彦は柏穎の母からの依頼を受けていたことが知られてしまう。俊彦は関係を取り戻すため、自分の最大の秘密を語った。17歳の時に原因不明の記憶障害で、高校以前の記憶をすべて失っていたのだった…。
《似逝而非》©日下棗