台北駐日経済文化代表処台湾文化センター発行、太台本屋 tai-tai books企画による「TAIWAN BOOKS 台灣好書」は、日本の皆さんにもっと台湾の本に触れていただきたいと願い、日本語で読める台湾作品の中から、特におすすめできる作品をピックアップしてご紹介しています。
「台湾大好きだけど、台湾作家の本は読んだことない。これから少し読んでみたい」「本を読むのは好きで、今まで読んだことない台湾の本を読んでみたい」「『歩道橋の魔術師』を読んで面白かったけど、次に何を読んだらいいかわからない」……と思っているみなさんのガイドとなれば幸いです。
『自転車泥棒』(呉明益、天野健太郎訳、文藝春秋)
いま台湾の若い読者に最も支持される作家、呉明益の長編小説。『歩道橋の魔術師』(2015年/白水社/訳 天野健太郎)に次ぐ2冊目の邦訳。父の失踪とともに行方不明となった自転車が、「ぼく」の目の前に現れたことから物語がはじまる。自転車の来歴を追ううちに、原住民族ツォウ族の青年が兵役中に体験した不思議な出来事、蝶の翅で工芸品をつくる女工、第二次世界大戦でマレー半島のジャングルで活躍した日本軍の「銀輪部隊」、そして、ビルマから中国軍とともに中国に渡り、戦後、国民党と一緒に台湾へ渡った象の「林旺」(リンワン)が記憶する戦争の苦しみなどを知ることになる。台湾の100年の歴史と庶民の記憶が、日本時代の台湾に根づいた自転車によって数珠つなぎとなり、大河のような壮大なスケールで描かれる。2018年国際ブッカー賞候補作。
呉明益(ごめいえき/Wu Ming-yi)
訳 天野健太郎2018年 文藝春秋
2,100円+税