台北駐日経済文化代表処台湾文化センター発行、太台本屋 tai-tai books企画による「TAIWAN BOOKS 台灣好書」は、日本の皆さんにもっと台湾の本に触れていただきたいと願い、日本語で読める台湾作品の中から、特におすすめできる作品をピックアップしてご紹介しています。
「台湾大好きだけど、台湾作家の本は読んだことない。これから少し読んでみたい」「本を読むのは好きで、今まで読んだことない台湾の本を読んでみたい」「『歩道橋の魔術師』を読んで面白かったけど、次に何を読んだらいいかわからない」……と思っているみなさんのガイドとなれば幸いです。
『次の夜明けに』(徐嘉澤、三須祐介訳、書肆侃侃房)
1947年、日本の植民地支配から解放されてまもない台湾。真実を伝える使命に燃える新聞記者の男は、ある日突然、ひと言もことばを発しない廃人に変わり果てた―。
これはそんな男の妻、2人の息子と孫が、激動の戦後台湾社会を懸命に生きていく家族の物語だ。息子たちは抑圧的な政権に抵抗して公理と正義の追求者となった。孫は家族を顧みない父親の世代に反発し、歴史や政治に無関心を装うが、ゲイである自分と向き合い新たな一歩を踏み出していく。そして明かされる「男」の真実とは?
1987年の戒厳令解除後、民主化の道程を歩んできた台湾の現代史をなぞりながら、新たな社会問題にも光をあてていく気鋭の新世代作家による台湾同時代文学。家族に悩み社会に怒りを持つ登場人物に、あなたは引き込まれるはず。そう、これはあなたじしんの物語でもあるのだから。
著 徐嘉澤(じょ・かたく/Hsu Chia-Tse)
訳 三須祐介
2020年
書肆侃侃房
1,900円+税