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【出版】Culture Meeting 文活 in 台湾-台湾文学祭 一代の詩人 楊牧 洛夫 

いつの時代だって、詩を求める人はいる。

あの頃、彼らは文学の種を蒔き、詩という花を咲かせた。


 ドキュメンタリー映画『島の物語を紡ぐ者たち』楊牧『一篇の詩の完成に向かって』紹介


詩を唇にのせる楊牧の美しい韻律のなかで、台湾文学の四季が立ち上がっていく。波風を共に乗り越えた教え子や作家仲間たちの言葉から、その確かな足跡が解き明かされる。幼少時代を過ごした花蓮、転換期を迎えたバークレー、遂にたどり着いた中央山脈…台湾に永遠の詩を残した人の深くて静かなる言語世界――。

2011年|台湾|カラー|75分
監督|溫知儀(ウェン・ジーイー)
出演|楊牧(ヤン・ムー)
原題|朝向一首詩的完成
製作・出品|目宿媒體 Fisfisa Media
日本語字幕|池田リリィ茜藍
監修協力|劉怡臻(リュウ・イージェン)
字幕制作|ホワイトライン
©2011 Fisfisa Media All Rights Reserved.

予告編


 ドキュメンタリー映画『島の物語を紡ぐ者たち』洛夫『岸のない河』紹介

自身の日記と代表作『石室の死亡』の一文一句が、時空間を交差しながら全編を貫く。職業軍人として幾多の戦禍をくぐり抜け、数々の衝撃作を世に送り出した、華人文学界の“詩魔”。 批判を浴びながらも、怯まず死や時間と向き合い、狭い道をどこまでも突き進んで行った。果たして彼が目指した境地とは――。

2014|台湾|カラー|93分
監督|王婉柔(ワン・ワンロー)
出演|洛夫(ルオ・フ)
原題|無岸之河
製作・出品|目宿媒體 Fisfisa Media
日本語字幕|池田リリィ茜藍
監修協力|劉怡臻(リュウ・イージェン)
字幕制作|ホワイトライン
©2014 Fisfisa Media All Rights Reserved.
予告編


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台湾の戦後世代を代表する詩人

楊牧(ヤン・ムー/Yang Mu)

1940-2020


 「執筆は、本来的に不満のはけ口であってはならない。私自身、執筆で自分の憤りや悲しみを表現するべきだとも思わない。」──楊牧


 台湾・花蓮生まれ。東海大学外国語文学科、アイオワ大学英語文学修士、カリフォルニア大学バークレー校比較文学博士。詩人、エッセイスト、翻訳者、そして学者というマルチな活躍で知られ、台湾文学界に多大な影響を及ぼしてきた。その作品は、イメージを重んじた洗練された言葉で表現されており、西洋の詩と中国古典の文学的技巧を合わせ持っている。また作品の音楽性も魅力的となっている。アイルランドの詩人・イェイツの影響を受け、ロマン主義をベースに、ヒューマニスティックな面も兼ね備えている。特に1972年にペンネームを「葉珊」から「楊牧」に変えてからは、社会への関心が強まった。出版された著作は60作以上で、国家文芸賞、呉三連文芸賞、ニューマン華語文学賞、スウェーデン・チカダ賞などを受賞、詩やエッセイは英語、韓国語、ドイツ語、フランス語、日本語、スウェーデン語、オランダ語などに翻訳されている。


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「詩魔」と呼ばれる台湾現代詩の先駆者

洛夫(ルオ・フ/Lo Fu)

1928-2018


「私は創作をある種の実験だと常に考えている。いつか私はすべての創作を否定するかもしれない。」── 洛夫


 中国・湖南省生まれ。1949年に国民党軍に入隊し、軍隊とともに台湾へ渡った。台湾南部の左営で海軍陸戦隊に配属された頃、詩人・瘂弦、張黙と創世紀詩社を創設した。詩人であり、評論家、エッセイスト、書道家でもある。18歳から詩を書き始め、人生が幕をおろす最期の時まで創作を続けた。その道のりは、まさに台湾現代詩の歴史を体現している。戦時下にあった初期は、シュルレアリスムの影響を受け、強烈なイメージ、奇妙で冷淡な言語が特徴的だった。表現方法はファンタスティックで魔術的だったため、「詩魔」と称された。晩年は次第に恬淡としたスタイルへと変化、特に人生に対する思惟を重んじるようになった。73歳の時に三千行の長詩『漂木』を出版し、同年には台湾現代十大詩人の一人に選ばれた。呉三連文芸賞、国家文芸賞などを受賞。作品は英語、フランス語、日本語、韓国語、オランダ語、スウェーデン語などに翻訳されている。


邦訳のある作品

『カッコウアザミの歌―楊牧詩集』

楊牧 著  上田哲二 編訳


ISBN:9784783728658

出版社:思潮社

出版日:2006/4/1

 台湾の戦後世代を代表する詩人・楊牧の初の邦訳選詩集。1956~2000年前後の計70作を収録、5つのパートからなり、『山海風雨』からエッセイ「詩的端緒」も収録。高校時代から葉珊というペンネームで創作を始めた時期にはあざやかなイメージとロマンあふれる表現が見られ、中期から後期にかけては、古典と現代が融合し抒情性と批判精神が共存するようになった。いずれもその時代の風景を表現したものとなっている。


『禅の味―洛夫詩集』

洛夫 著  松浦恆雄 編訳


ISBN:9784783728955

出版社:思潮社

出版日:2012/1/1

 台湾モダニズム詩人の双璧として、台湾詩を牽引してきた詩人洛夫の長年にわたる創作活動から64作を収録、第1~3部は年代順、第4部はカナダへの移民後に創作した長詩である。1950年代から2010年までの洛夫の創作の歩みをなぞりながら、「魔はすなわち禅」、「禅はすなわち魔」という洛夫詩の美学がじっくりと味わえ、さらに20世紀半ば以降の台湾現代詩の全体像も見いだすことができる。


『奇莱前書―ある台湾詩人の回想』

楊牧 著  上田哲二 訳


ISBN:9784783728764

出版社:思潮社

出版日:2008/1/1

 台湾文壇で最も崇拝されてきた楊牧の自伝的エッセイ。「山風海雨」、「方向、零に帰す」、「昔我往きしとき」の3部から構成されている。前半部分では5歳から高校までを取り上げ、詩人のまなざしで花蓮、そして山や森林、野原、海を描いた作品が収録され、まさに楊牧の世界の原点を知るための必読の書と言える。