「淬·煉―百錬鋼を成す」展は、身体運動を反復するアーティストが、修行者のように物事を知覚し、真我を実践していく一連のサイクルに焦点を当てた企画展です。18名の台湾人作家による計29点の作品を通して、精神と身体運動が絶えず互いに作用し、ぶつかり合い、融合していくその過程や断片を掬い上げていきます。国立台湾美術館アートバンクが企画する本展は、東京の台北駐日経済文化代表処 台湾文化センターならびに横浜市民ギャラリーの2会場をまたがって実施します。台湾文化センターでは、身体と運動との関係性を扱うパフォーマンス・アート、絵画、ビデオ作品を通して、ビジュアルアートと身体運動との複層的な対話を展開していきます。横浜市民ギャラリーでは、身体のゆくえや私という生の根っこを深く掘り下げ、作品から湧き上がる命の強さとエネルギーの諸相に迫ります。
「顕在的」および「内省的」の2部構成のもと、アーティストがいかにして身体、知覚、意識を結合させながら、自己鍛錬を行い、精神性の追求を高めていくかを紐解いていきます。同時に、積み上げた修練によって創造される可能性、ないし制作という身体運動と自我の目覚めによって繰り広げられる活動が、どのようにして生きる意義を生成しているのかを可視化し、紹介していきます。
展覧会会期-
2019.7.5(金)―9.13(金) 10:00~17:00(休館日:土日祝)台湾文化センター
2019.7.31(水)―8.11(日)10:00~18:00 (休館日:会期中なし) 横浜市民ギャラリー
主催:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
共催:横浜市民ギャラリー
企画:国立台湾美術館 アートバンク
日時:8月1日(木) 14:30~17:20 作品解説+トークイベント+交流会
会場:横浜市民ギャラリー (〒220-0031 横浜市西区宮崎町26-1)
当日の流れ:
14:00 受付開始 (地下1階展示室)
14:30~15:00キュレーター代理の王俊傑(ワン・ジュンジェ/国立台北藝術大学ニューメ
ディア・アート学科准教授)氏による作品解説
15:00~16:30トークイベント(テーマ2:Strength-表現する身体)
16:30~17:20交流会 (4Fアトリエ)
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テーマ2:Strength-表現する身体
身体は制作において最も直接的なメディアであり、時にはそれ自体が作品となる。身体を使った動作や五感を通した経験は、触覚的リアリティを現前させ、作家は制作を通して修行のような実践を行う。本トークイベントでは、出品作家のアプローチをもとに、「身体という表現運動」について、更に議論を深めていく。
出演:謝鴻均(シェ・ホンジュン/アーテイスト)、許馨文(シュ・シンウェン/アーテイスト)、山野真悟(黄金町エリアマネジメントセンター事務局長)
モデレーター:王俊傑 (ワン・ジュンジェ/国立台北藝術大学ニューメディア・アート学科教授)
通訳:池田リリィ茜藍
*トーク終了後に、交流会を予定。どなたでもご参加可能(入場無料/要予約)。
出演者
謝鴻均(Hong-Juin Hsieh)
1961年、台湾の苗栗生まれ。1995年に、ニューヨーク大学芸術学大学院博士課程修了。国立清華大学教授、美術作家。身体性やジェンダー、セクシュアリティをテーマした、斬新なアート作品をこれまで多く発表。肌身で感じた葛藤、思弁、豊かな叙情から希求までを、多義性を帯びた作品へと綿密に転化させる。近年の主な個展に、「Context of My Humble Life in Paintings and Drawings」(Mind Set Art Center、2015)、「囿」(李澤藩美術館、2010)など。主なグループ展に、「少年当代―未終結の過去進行形」(台北当代美術館、2019)、「身体と叙述者」(Silverlens Gallery,2014)、「YES, TAIWAN」(台湾ビエンナーレ、2010)など。
許馨文( Hsu Hsin-Wen)
1966年、台湾の基隆生まれ。国立台湾芸術大学書画学科造形芸術大学院修士課程修了。ミクスト・メディア表現を得意とし、人々と集団的記憶との関連をひも解く作品を展開している。近年主な個展に「拋物―許馨文個展」(Powen Gallery、2019)、「根・記憶の蔓延―許馨文個展」(紫藤廬,2017)など。主なグループ展に、「造物者」(府中15、2019)、「問津─国際ビエンナーレ」(基隆、2018)、「現在の未来」(中央美術学院、北京798ギャラリー、2017)など。
山野真悟(Yamano Shingo)
1950 年福岡県⽣まれ。黄金町エリアマネジメントセンター事務局長。1978 年よりIAF 芸術研究室を主宰、展覧会企画等をおこなう。1990 年ミュージアム・シティ・プロジェクト事務局⻑に就任。1990 年より隔年で街を使った美術展「ミュージアム・シティ・天神」をプロデュース。「まちとアート」をテーマに、プロジェクトやワークショップ等を多数てがける。2005 年「横浜トリエンナーレ」キュレーター。2008 年より「黄金町バザール」ディレクター、翌2009 年黄金町エリアマネジメントセンター事務局長に就任。2014年芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2016 年横浜市文化賞受賞。
モデレーター
王俊傑(Wang Jun-Jieh)
ベルリン芸術大学視覚芸術学科ディプロム課程修了。ニューメディア・アーティスト、キュレーター、国立台北藝術大学ニューメディア・アート学科教授兼学科長。1984年より、ビデオ・アート作品を発表。企画した主な芸術祭・展示に、「2006台北ビエンナーレ、ダーティ・ヨガ」(台北市立美術館、2006)、「デジタルアートフェスティバル台北」(2009、2012、2013、2014)、「VIDEONALEダイアローグ・イン・コンテンポラリー・ビデオ・アート」(国立台湾美術館、2011)などがある。