当センターは今年誠品生活日本橋と【台湾Culture Meeting】を共催します。
台湾作家の日本市場進出を後押しし、台湾文学界が誇る名作の数々を日本の読者にお届けするために、台湾文化センターと誠品生活日本橋は年間を通じて主題テーマを設け、台湾の代表的な作家を特集し、中文書と翻訳書籍を集めたコーナーを常設しています。
今年第3弾のテーマは「味の台湾 おいしさと安らぎを心ゆくまで味わう美食文学」です。2021年12月末まで誠品生活日本橋で展示中、ぜひお越しください。
「食とは、私たちの精神と暮らしを生き生きとしてくれる、いわば無限につづく召喚である」──『暴食江湖』
今シーズン注目の作家
焦桐 ジアオ・トン
(撮影:賴小路)
文筆家・詩人。1956年、高雄生まれ。舞台の脚本・演出を手掛けるなどして、演劇人としてキャリアをスタートさせた後、文筆業の傍ら、メディアに関わる仕事に長年にわたって従事している。示される詩のイメージは鮮明かつ先鋭的で、また散文は軽妙な筆致でありながら、思慮深くも内省的である。1999年に上梓した現代詩集『完全強壯レシピ』以降、食文化を伝える担い手となる。2001年に、二魚文化出版社を創設し、雑誌『飲食』を自ら刊行。代表作に『焦桐詩集(仮題)』、『台湾飲食文選(仮題)』、『フォルモサの味(仮題)』がある。
今シーズンいち押しの一冊
『フォルモサの味』
ISBN | 9789865813581
出版社 | 二魚文化
出版日 | 2017/09/12
台湾の食にまつわる本の多くは、焦桐が頭角を現す以前こそ、風情たっぷりな郷愁をかき立てる作品が多かった。エッセイスト・張曉風は焦桐について「料理に詩の桂冠をかぶせ、その純度を宗教の域にまで高めた」と評している。20数年もの間、食と文学のおいしい関係を紡ぎ、グルメが彩るものがたりの新境地を切り拓いてきた焦桐。代表作に、台湾の屋台料理やレトロな軽食店の味を生き生きと書き上げた『暴食江湖』、台湾各地に点在する味な店に自ら赴き、舌鼓をうち、情報を収集して、まとめ上げた3部曲の『台湾の味』、『台湾の腹』、『台湾の舌』などがある。またこれら前作を大幅に加筆し再構成した本作は、台湾小吃(シャオチー)のバイブルとされている。食を用いて人々の記憶や文化背景を、圧倒的な観察力と繊細な筆致で噛み砕く焦桐の作品は、ピリリと読み手の五感をフルに刺激し、読むほどに、懐かしい台湾ごはんを恋しくさせる。台湾の街角の匂いと味がしみじみと滲み出す文章を、ぜひご堪能あれ!
「忘れられない思い出の老舗のレストラン。往時の賑わいをしみじみと懐古するなじみの顔ぶれたち。台湾の“日式料理”は、華やかではないものの、出されるものはどれも、そのものの味わいが引き出されている。おいしい食べ物とは、どれも誠実な本質をとらえているのだ。私はそのことを、ますます信じるようになった」──『フォルモサの味』
邦訳版絶賛発売中
『味の台湾』
『フォルモサの味』から選りすぐりの60篇を収録!
ISBN | 9784622090458
出版社 | みすず書房
出版日 | 2021/10/18
焦桐の代表作
『台湾の味』
ISBN | 9789866490262
出版社 | 二魚文化
出版日 | 2009/12/31
お肉の餡を包んだ肉圓(バーワン)、だしの効いた米(ビー)粉(フン )湯(タン)、カキ入りオムレツの蚵仔煎(オアチェン)、甘辛く味付けした滷(ルー)肉(ロー)飯(ハン)など、滋味深き庶民的な台湾料理に秘められた数々の物語──。5年のご当地探訪を経て、小吃を体系的にまとめた渾身の一作。読めば読むほどに、台湾の匂いと味が立ち込めてくる美食エッセイ。
『青果物歳時記』
ISBN | 9789865813826
出版社 | 二魚文化
出版日 | 2016/08/03
肉なしでは満足しなかった焦桐が、人生の折り返し地点で菜食の魅力に目覚め、その味わいや文化をつぶさに考察した一冊。「果物と野菜こそ季節のリズムを表している」──、60種類もの食材を季節ごとに取り上げ、天地自然の移ろいや条理を豊かに書き下ろした珠玉の歳時記。
『小さな恋人のためにつくる朝食』
ISBN | 9789865813994
出版社 | 二魚文化
出版日 | 2020/02/20
食べ物をこしらえるとは、ただ空腹を満たすためではなく、想いを伝える営みでもある。前世の恋人のような娘と父のほっこりするやり取りや、家族への愛がたっぷりと詰まった日々の食卓……。筆からフライ返しまでを自在に操る作者と、食べ盛りの娘たちの成長レシピ。
台湾の美食をテーマにしたおすすめの名作
『台湾グルメ食べ歩き記』
台北小吃札記
ISBN | 9789573323259
作者 | 舒國治
出版社 | 皇冠
出版日 | 2007/05/22
「小吃のエスプリは、市井の人々の素晴らしさを表している」──、街角の店や屋台の小吃をこよなく愛する、台湾文学界のB級グルメ家として名高い舒國治。路地裏に息づく台北の食の魅力と人間讃歌を、舒流に小気味よく描いた美食エッセイ集。粋を尽くした全67篇を収録。
『日々の三食、朝・昼・晩』
ISBN | 9789869561167
作者 | 葉怡蘭
出版社 | 寫樂文化
出版日 | 2018/11/06
数百万人のフォロワーを誇る、美食家で暮らし実践家の葉怡蘭。20年にわたる、何気ない日々の600品もの主菜、副菜、デザートの一つひとつを丹念に調理し、書き留めたファン垂涎の集大成。おかわり必至のおいしいごはんが冷めないうちに、どうぞ心ゆくまで召し上がれ。
『台湾料理の醍醐味』
ISBN | 9789869899659
作者 | 黃婉玲
出版社 | 寫樂文化
出版日 | 2021/02/02
手の込んだ上品な宮廷料理と違って、台菜(台湾料理)の真髄は、大皿に盛られた料理をワイワイガヤガヤみんなで一緒に食べる辦桌(バンドッ)にある。冠婚葬祭時に、屋外の円卓を囲んで食事を取りながら交流を深める風習、その知られざる素顔と醍醐味が明らかに。
『良露家の味』
ISBN | 9789862135624
作者 | 韓良露
出版社 | 大塊文化
出版日 | 2014/10/30
味覚は郷愁であり、味は記憶を呼び覚ましてくれる。どんな料理にもそれぞれの人生の物語がある。想い出の味を辿ることで、父親や祖母との日々の日常茶飯事が静かに語られていく。その家庭でしか食べられない味から立ち上がる、時代の面影と幸せのひと時……。
『国宴と家宴』
作者 | 王宣一
ISBN | 9789865824556
出版社 | 新經典文化
出版日 | 2016/03/02
美食家の原点ともいえる、記憶の中の台所。来客をもてなすために、母が腕によりをかけて作った、さまざまなごちそう料理。王家のおうちフルコースの記録から垣間みる、味わい深い暮らしの断片。家での宴を取りまくエピソードを薀蓄あふれるタッチで仕上げた、この上なく美味な一冊。
2021年12月末まで、誠品生活日本橋の「台湾文化視点コーナー」にて絶賛展示販売中。ぜひお越しください。
「台湾Culture Meeting -味の台湾 おいしさと安らぎを心ゆくまで味わう美食文学」パンフレットオンラインでも見れますよ。
ダンロード⇒
イラスト/張宗舜・陳妮均
提供/みすず書房
編集・執筆/王琦柔
翻訳/池田リリィ茜藍