著 陳 思宏 Chen Shih-hung
2022年 刊行予定 早川書房
書影は原書のもの 提供:鏡文學
メディア出身のジャーナリストで俳優、通訳でもある陳思宏(チェン・スーホン)は、現在ドイツ在住。複数のアイデンティティや、異なる文化からの影響は、彼の視点を独創的で躍動感溢れるものとした。『鬼地方』は2020年台湾文学賞を受賞している。主人公は生まれ育った彰化県永靖から逃げ出そうともがいていた。ついに故郷から逃げ、ドイツに渡るのだが、それでも彼は故郷を思うのを止められなかった。陳思宏の『鬼地方』はベルリンでの殺人事件を通して、それを一路追いかけ彰化県永靖まで遡り戻っていく。彼は自身の人生経験を生かし、多様な視点を組み合わせて台湾で暮らすことの現実を見せる。台湾農村の日常や家族関係についてだけでなく、台湾の伝統的な価値観や台湾の社会体制にも表現し、台湾での生活の現実的な側面を描き出している。