雨の島(仮題)
苦雨之地
ご・めいえき
著 吳 明益 Wu Ming-yi
絵 吳明益、吳亞庭
2021年 刊行予定 河出書房新社
書影は原書のもの 提供:新經典文化
『歩道橋の魔術師』、『自転車泥棒』で日本でもよく知られている著者は吳明益(ご・めいえき)である。その作品はフランスの島文学賞(Prix du livre insulaire)、本屋大賞翻訳小説部門第三位を獲得、『亞洲週刊』の年度小説にも選出され、ブッカー賞入選なども果たしており、世界10か国以上で翻訳出版されている。彼は都市の喧騒から遠く離れ、台湾花蓮の静かな町で教鞭をとっており、その筆致には世俗を離れた静謐な感覚が湛られている。
2021年の新作『雨の島(仮題)』はさほど遠くない未来を舞台とした六つの物語から構成され、人、動物、自然、土地、それらの関係を深く探求している。吳明益は本書のアートデザインにも参加。書籍中の手描き挿絵の多くは彼の手によるものである。それは18世紀の西洋科学図版の雰囲気で描かれ、台湾の自然とそこに生きる命を見事に表し、見る人の心を震わせる。