食やカルチャー、観光地や雑貨、あるいは政治や経済、歴史にフォーカスした台湾関連の書籍は日本でも多く出版されているが、手に取りやすいフォーマットで、台湾の人々の「ふつう」の日常を分かりやすく知らせる本はそれほど多くないかもしれない。
ティーンや初学者に向けた「岩波ジュニア新書」シリーズとして出版された本書は、台湾の若者たちの学校生活の慣習や制度上の特徴を、学生たちの生の声を交えながらつぶさに紹介する。
熾烈な受験戦争や兵役の義務などの目立ったトピックはもちろん、彼らがしばしば本名とは別に英語名を持っていること、高校にも昼寝の時間が設けられていること、どの教室にも必ず弁当を温める「蒸飯箱」が用意されていることなど、些細ながら日常レベルに浸透した慣習に表れる「違い」を知ることは豊かで楽しい。
若者たちから見た日本人の印象も率直に紹介されており、互いを知りながら長く深く交流するうえでのヒントに満ちた一冊。