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TAIWAN BOOKS 台灣好書『複眼人』(呉明益、小栗山智訳、KADOKAWA)

 台北駐日経済文化代表処台湾文化センター発行、太台本屋 tai-tai books企画による「TAIWAN BOOKS 台灣好書」は、日本の皆さんにもっと台湾の本に触れていただきたいと願い、日本語で読める台湾作品の中から、特におすすめできる作品をピックアップしてご紹介しています。

 「台湾大好きだけど、台湾作家の本は読んだことない。これから少し読んでみたい」「本を読むのは好きで、今まで読んだことない台湾の本を読んでみたい」「『歩道橋の魔術師』を読んで面白かったけど、次に何を読んだらいいかわからない」……と思っているみなさんのガイドとなれば幸いです。


『複眼人』(呉明益、小栗山智訳、KADOKAWA) 

 太平洋に浮かぶ小さな島の掟に従い、ひとり草舟で大海原へ漕ぎだした少年アトレ。巨大なごみの島を発見して上陸するが、やがて起きた津波で台湾の東海岸に打ち上げられる。大学で文学を教えるアリスは、夫と小さな息子が山で行方不明になって以来、絶望の日を送っていた。

 布農(ブヌン)族のレスキュー隊員ダフや、阿美(アミ)族のカフェ店主ハファイなど、それぞれに過去の傷を背負う隣人がアリスに寄り添うが、心は癒されない。そんな折、山道でアリスは怪我で動けなくなっているアトレを拾う


 「台湾は複層的な豊かさを持つ島で、古来、人
は自然と調和して生きていたが、都市化や経済発展と共にそれは忘れられた。美しい蝶の複眼のように、多元的な観点からもう一度私たちの島を見直したい」(著者)
英、仏など十数ヵ国語に翻訳。『自転車泥棒』の著者の代表的作品。


著 呉明益(Wu Ming-yi

訳 小栗山智

KADOKAWA

20211月 刊行予定

書影は原書のもの 提供:新經典文化