台北駐日経済文化代表処台湾文化センター発行、太台本屋 tai-tai books企画による「TAIWAN BOOKS 台灣好書」は、日本の皆さんにもっと台湾の本に触れていただきたいと願い、日本語で読める台湾作品の中から、特におすすめできる作品をピックアップしてご紹介しています。
「台湾大好きだけど、台湾作家の本は読んだことない。これから少し読んでみたい」「本を読むのは好きで、今まで読んだことない台湾の本を読んでみたい」「『歩道橋の魔術師』を読んで面白かったけど、次に何を読んだらいいかわからない」……と思っているみなさんのガイドとなれば幸いです。
『リングサイド』(林育德、三浦裕子訳、小学館)
安ホテルの受付バイトをする大学4年生(留年決定)の俺は、先輩からタイガーマスクの覆面をもらう。ホテルに“配達”される女の子のひとりが気になり、意を決して彼女を呼ぶが、俺にできたのはマスクを被ったまま彼女と話すことだけだった。(「タイガーマスク」)
あの頃、親父は漁船に乗ってるし、お袋も家出して、家にはばあちゃんと俺、黒犬の来福の3人きりだった。俺たちは毎晩、日本プロレスの番組で三沢光晴を応援していた。だけど俺はある日、とんでもないことを知ってしまう。(「ばあちゃんのエメラルド」)
台湾ではマイナーな娯楽である「プロレス」をテーマにした10篇の連作短編集。花蓮(小説内では「小城」)を主な舞台に、市井の人びとの少しだけ特別な一日や、開発で変容していく街、故郷で何かを始める若者、原住民族の揺れるアイデンティティーなどを描く。
著 林育德
Lin Yuh-Der
訳 三浦裕子
小学館
2021年2月 刊行予定
書影は原書のもの 提供:麥田出版