台北駐日経済文化代表処台湾文化センター発行、太台本屋 tai-tai books企画による「TAIWAN BOOKS 台灣好書」は、日本の皆さんにもっと台湾の本に触れていただきたいと願い、日本語で読める台湾作品の中から、特におすすめできる作品をピックアップしてご紹介しています。
「台湾大好きだけど、台湾作家の本は読んだことない。これから少し読んでみたい」「本を読むのは好きで、今まで読んだことない台湾の本を読んでみたい」「『歩道橋の魔術師』を読んで面白かったけど、次に何を読んだらいいかわからない」……と思っているみなさんのガイドとなれば幸いです。
『台湾博覧会1935スタンプコレクション』(陳柔縉、中村加代子訳、東京堂出版)
舞台は1935年の台北。日本の台湾統治40周年を記念した「台湾博覧会」にあわせ、街の商店や旅館がこぞってオリジナルスタンプを作成。それを300個以上も集めたある収集家のノートが、80年後に発見された! 独創性あふれるスタンプの数々は今なお色褪せず、少しも古さを感じさせない。
商店一軒一軒のエピソードを丹念に掘り起こした著者の手腕も光る。パチンコ台の置かれた人気食堂(ヒカル食堂)や、ウィンドウの裸婦像は猥褻か否か論争(盛進商行)、阪東妻三郎初のトーキーをかけた映画館(芳乃館)、窃盗事件の心温まる結末(新高旅館)、カフェーの営業妨害をした男たちの目的(孔雀カフェー)、サルまで飼育していた郊外の温泉施設(衆楽園)などなど、読めば当時の空気が鮮やかによみがえり、人びとの暮らしが目の前に立ち上がる。
著 陳柔縉
Chen Rou-Jin
訳 中村加代子
東京堂出版
2020年12月 刊行予定