台北駐日経済文化代表処台湾文化センターと誠品生活日本橋との共催イベント【台湾Culture Meeting】は、台湾作家の日本市場進出を後押しし、台湾文学界が誇る名作の数々を日本の読者にお届けするために、年間を通じて主題テーマを設け、台湾の代表的な作家を特集し、中文書と翻訳書籍を集めたコーナーを常設しています。
台日文学交流フォーラムの第三弾は、先日みすず書房から刊行された「味の台湾」の著者、焦桐(ジアオ・トン)さんをお迎えします。現代台湾を代表する詩人のお一人である焦桐さんは、また台湾の食文化の研究者としても有名です。彼の長年の活動が結実し、台湾飲食文学の聖経と評された『味道福爾摩莎』から選りすぐった六十篇を収録した本書を巡って、大の台湾ファンで知られる声優、書評家、エッセイストの池澤春菜さんと対話をしていただきます。コロナウィルスの影響でなかなか台湾を訪れることのできない皆様にとっても、“台湾の味”を想起するきっかけになるのではないでしょうか。
■イベント情報
日時:2021年11月16日(火)19:00~20:30(終了時間は変更の予定あり)
場所:オンライン(Zoomウェビナー)
参加費:無料
申し込みリンク→ https://seihin1116ajinotw2.peatix.com/view
■登壇者プロフィール
焦桐(ジアオ・トン)
詩人、文学者、編集者。1956年台湾高雄市生まれ。台湾を代表する現代詩人の一人であり、詩とレシピを融合させた詩集『完全強壮レシピ』を発表以来、台湾の食文化に関する研究・執筆を進める。2001年に出版社「二魚文化」を立ち上げ、台湾で発表された飲食についての散文を年度ごとに編集・出版。また国立中央大学中国文学科で教える教授としての顔も持つ。詩集・散文・研究書も含め著作多数。代表作に『台湾飲食文選』、『味道福爾摩莎』(『味の台湾』原書)がある。詩集に『完全壮陽食譜』(邦訳『完全強壮レシピ――焦桐詩集』)、『青春標本』。エッセイ集に『暴食江湖』、『台湾味道』、『台湾肚皮』、『台湾舌頭』がある。
池澤 春菜 (いけざわ はるな)
声優・書評家・エッセイスト。ギリシャ・アテネ生まれ、神奈川、東京都育ち。大学在学時に『ミュータント・タートルズ(旧作)』で声優デビュー。1996年にはアニメ『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』で星馬豪(せいば ゴー)役で主演。日本SF作家クラブ理事。2017年、SFエッセイ集『SFのSは、ステキのS』で第48回星雲賞ノンフィクション部門を受賞。2021年、初の小説作品「オービタル・クリスマス」で第52回星雲賞日本短編部門を受賞。小説家・詩人、翻訳家の池澤夏樹は父。著書に「乙女の読書道」(本の雑誌社)「SFのSは、ステキのS」(早川書房)「最愛台湾ごはん 春菜的台湾好吃案内」(KADOKAWA)「はじめましての中国茶」(本の雑誌社)「台湾市場あちこち散歩」(KADOKAWA)「おかえり台湾 食べて、見て、知って、感じる 一歩ふみ込む二度目の旅案内」(共著・インプレス)など多数。
『味の台湾』
著者:焦桐
訳者:川 浩二
出版社:みすず書房
ISBN:978-4-622-09045-8
価格:3,300円
「二十数年前に美食家だと誤解されて以来、こんな質問をたびたびされた。“何が台湾の味なのでしょう?”“台湾の特色をそなえた食べものとは何なのですか?”知っているような気がしつつも、どう答えていいのかは分からなかった。私は台湾の食文化を研究し始め、しばしばフィールドワークにも出かけるようになった。」(「日本語版序」より)
現代詩と料理のレシピを融合させた異色の詩集『完全強壮レシピ』により名を馳せた詩人は、十数年にわたり台湾じゅうを食べ歩き、庶民に親しんだ食べものを味わいつくした。土地や店ごとにさまざまに異なる“小吃”の数々から透かし見えるのは、貧しく厳しい日々のなかで生活の平穏無事を祈り勤勉に働いた古い時代の人々の姿であり、ふるさとを思って作った食べもので郷愁を慰めた移民たちの記憶であり、台湾の歴史のなかで起こった文化の混淆と変容の痕跡であった。
台湾の味わいを、時に甘やかに、時にほろ苦く描き出し、台湾飲食文学の聖経と評された『味道福爾摩莎』より60篇を厳選。