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台湾文化センターでセクシュアル・マイノリティをテーマに日台作家対話を開催

台北駐日経済文化代表処台湾文化センターで9月13日、2019年第2回「台湾カルチャーミーティング」が開催され、「セクシュアル・マイノリティを書くということ」と題して、台湾から来日した作家・陳雪氏と日本の作家・松浦理英子氏が対談を行った。

司会はこれもセクシュアル・マイノリティを題材に日本や台湾で作品を発表し、最新作「五つ数えれば三日月が」が芥川賞候補にもなった作家・李琴峰(り・ことみ)氏が務めた。会場には80名余りが出席し、ともにこのテーマで作品を発表してきた日台の作家同士が、創作に関する思いや体験を語り合った。

台湾カルチャー・ミーティングの開催は今年で4年目。台湾の作家を日本に招くなどして、台湾の出版界を幅広く日本の読者に関心を持ってもらおうというイベントで、同センターの人気企画になっている。

陳雪氏は1970年台湾・台中生まれ。主な著書に長編小説『悪魔の娘』『橋の上の子ども』、短編集『悪女の書』、エッセイ『私のようなレズビアン』などがあり、『橋の上の子ども』は日本語訳も出版されている。

松浦理英子氏は1958年愛媛県生まれ。1994年『親指Pの修業時代』で女流文学賞、2008年『犬身』で読売文学賞、2017年『最愛の子ども』で泉鏡花文学賞を受賞。連作短編『ナチュラル・ウーマン』は2度にわたり映画化された。

陳雪氏は「文学者には重要な任務がある。社会の縁にいるマイノリティとして生き延びている人たちの話を書くことで、マジョリティの側との橋渡しとしての役割を果たすことだ」「私もマイノリティだが、自分の不完全さ、欠陥を受け入れ、向き合い、作品を書くことで読者から勇気をもらい、自由になっていった」と語った。自身も同性婚をしている陳雪氏は、同性婚が今年5月に合法化した状況にも触れ、文学者が台湾のセクシュアル・マイノリティの権利獲得や社会の意識改革に果たした強い役割があったことを指摘した。

松浦氏はこれに応えて「従来の文学ではマイノリティは異物として扱われ、マジョリティを楽しませる材料だった。マイノリティを主体にした小説で、そうした文学をひっくり返したい。セクシュアル・マイノリティなどの自分と異なる存在を、認められない人々はどんなに時代が変わっても一定数存在し続けると思う。でも、そういう人々が暴論を口に出せない社会の空気をつくることはできる。牙を抜かれることなく戦い続ける小説を描いていくことが人生最大の目標だと思っている」と創作の動機について語った。

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