韓国、香港など東アジア文学が日本でも注目されています。台湾もまた、呉明益の長編『自転車泥棒(仮訳)』がイギリス・ブッカー賞の第一選考で選ばれるなど、新世代の作家たちの活躍が目立ちます。かつては純文学一辺倒でしたが、近年はミステリーや歴史、ライトノベルなどジャンルの枠を超えた作品が増え、アンソロジー刊行や雑誌展開、イベントやSNSの活用など、さまざまなアプローチで読者層を広げています。
「台湾カルチャーミーティング」第2回はそんな、台湾人作家にフォーカスをあてます--今もっとも多ジャンルで活躍する、注目度ナンバーワンの若手小説家・何敬堯さんをゲストに迎え、「台湾で作家になる方法はなにか?」「どんな環境、動機、方法で作品を書くのか?」「台湾人作家が書くべき方向性は?」「どうやって読者を広げるか」など、創作の背景にある台湾の出版状況や作家としての考えかたなどを、たっぷりお聞きします。まだ邦訳はありませんが、作品についても日本語で紹介し、著者御本人にも語っていただきます。
台湾の文化人・クリエーターを招き、台湾好きのみなさんと台湾文化について語り合う「台湾カルチャーミーティング」。今年は”夏の台湾文学トーク”を連続開催。若手作家の活躍を知る第一弾に続き、第二弾はLGBT文学、第三弾(8月)は翻訳文学享受と作家の海外進出がテーマです。台湾文学がお好きなかたはもちろん、まだ読んだことがなくとも、台湾の出版環境や作家生活、あるいは彼らのテーマとなる台湾社会広く興味があるかたならぜひ気軽に、ご参加ください。
日時:6月29日(金)19時から(およそ1時間半)
会場:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター(東京メトロ虎ノ門駅より徒歩1分)
定員:80名(入場無料、予約制。30分前開場、自由席)→ご予約の方は本ページ下の「参加申込」をクリックしてください。必要事項を記入のうえ、申込みいただくと、予約確認メールが自動返信されます(迷惑メールに分類される場合があります。事前に設定をご確認ください)。記入項目のCAPTCHAは「音声再生」の左の横文字を枠にご記入ください。CAPTCHAのエラーと時間切れの場合になりましたら、リロードしてもう一度ご記入ください。
ゲスト:何敬堯(か けいぎょう)
司会・通訳:天野健太郎(『歩道橋の魔術師』『13・67』訳者)
プロフィール
何敬堯(か けいぎょう)
1985年台中生まれ、作家。台湾大学外国文学部卒業、清華大学台湾文学研究所修了。映像製作会社、ライター、小説創作講師の仕事しながら、作品を執筆し台湾の各種文学賞を受賞。2014年最初の小説集『幻之港(幻の港)』刊行。2015年バーモント・スタジオセンターのアーチスト・イン・レジデンスに選ばれて、渡米。滞在後、紀行文集『佛蒙特沒有咖哩(バーモンドにカレーはなかった)』(共著)を上梓。2016年ミステリー小説集『怪物們的迷宮(怪物たちの迷宮)』を発表。2017年4人の作家による連作小説『華麗島軼聞:鍵』、さらに『妖怪臺灣 三百年島嶼奇幻誌』(張季雅・絵)、2018年『妖怪鳴歌録』と立て続けに台湾妖怪の図鑑、歌本を刊行。出版、展示、アートなど盛り上がる「妖怪」ブームの火付け役となる。今台湾でもっとも多ジャンルに活躍する、注目度ナンバーワンの若手小説家。
○主要作品紹介
『幻之港(幻の港)』 清・嘉慶年間から日本統治時代初期の台湾中部の港を舞台とした時代小説(連作集)。いにしえの港と人、そしてあやかしの物語が幻想的に描かれる。
『怪物們的迷宮(怪物たちの迷宮)』 台北という「盆地都市」の片隅で発生する陰惨な事件。現代人の心に巣食う「怪物」を描く、ミステリー小説(連作集)。
『妖怪臺灣 三百年島嶼奇幻誌』(張季雅・絵) 十七世紀から清の時代、そして日本統治時代まで300年にわたる台湾各地に残された伝承、古文書から蒐集した台湾妖怪の大図鑑。
※6月30日も同会場で何敬堯さんのトークイベント「台湾妖怪奇譚」⇒ぜひあわせて、ご来場ください。