多民族社会の台湾では、民族や地域ごとに特徴のある料理を楽しむことができます。オーストロネシア系の先住民族である原住民族、早い時期に台湾に移住し根をおろした福建系漢族や客家、第二次世界大戦後に移住をした中国大陸各地の人びとが豊かな食文化を育んできました。それぞれの食文化に深くかかわる料理では、味はもちろんのこと、ともに食べる時間も楽しみを与えてくれます。美味しいものをともに食べるという行為は、社会の中の絆をむすび、強くします。今回の映画会では料理を通して、社会のありかたを考えてみます。
開催日:2017年10月14日(土)
場 所:国立民族学博物館 講堂
時 間:13:30~16:30(開場13:00)
定 員:450名
食文化を通して見えてくる台湾
台湾では、結婚式や節目の誕生日等、親戚や友人を招待しておこなう規模の大きなお祝いごとに宴会がつきものです。お祝い事に参加してくれた人たちを満足させることはとても重要で、そのために欠かせないのが宴席に出されるご馳走です。
台湾の宴会では屋外に設置した丸いテーブルで料理がふるまわれることがよくあります。一つのテーブルには10人くらいが座るので、招待客の数はすぐさま数百人に膨れ上がります。こうした宴席を設けることや宴席そのものを台湾では、「辦桌(バンドゥ)」とよびます。参加者の人数分の料理を準備するだけでも大変なのに、それ以上に、舌の肥えた来客を満足させる料理をふるまうという重責を料理人たちは担うことになります。美味しくない料理を出すことは、宴席を設けた主人の面子をつぶし、お祝い事がぶち壊しになるからです。
宴席を用意する主人やその家族の思い、そして宴席の参加者の思いを美味しい料理でつなぐことが総舗師の役割ですが、美味しい料理をつくれるだけでは十分でなく、それを限られた空間と時間の中で大量に次々と準備するマネジメント能力が求められます。「味を知り、人を知る」、総舗師にはそんな意味がこめられているのかもしれません。
この映画は、あまり脈絡のないドタバタ喜劇のように見えるかもしれません。しかしながら、意識して鑑賞すると、食文化だけでなく、台湾社会が抱える格差問題、食の安全、台湾人意識といったテーマが見え隠れします。そういったことも解説でふれながら、皆さんとこの映画を楽しみたいと思います。
詳しくは国立民族学博物館まで。http://www.minpaku.ac.jp/museum/event/fs/movies171014taiwan