メインのコンテンツブロックにジャンプします

【新刊】『台湾生まれ 日本語育ち』

東京在住の台湾人作家、温又柔さんの待望のエッセイが刊行されました。




温さんは1980年に台湾人の両親の間に台北市で生まれ、3歳の時に家族と東京に引っ越し、台湾語混じりの中国語を話す両親のもと、中国語・台湾語・日本語の三つの言語が交錯する環境で育ちました。2009年、自身を投影した家族の物語「好去好来歌」ですばる文学賞佳作を受賞。将来を期待される若手作家です。




「あなたの母語は何ですか」と聞かれると、いつも戸惑う――。温さんが自由に操れるのは日本語だが、幼いころ耳にし、覚えかけたのは両親が話す台湾語混じりの中国語でした。相変わらず両親は家で台湾語混じりの中国語を話すし、たまに混じる日本語はオカシイ。学校では日本人の生徒と同じように振舞っていたが、街中で中国語を耳にすると懐かしく感じる……。「ピンインやカタカナを駆使してでも、どうにか輪郭をつけたい記憶が、私にはたくさんあるようなのだ」。


本書は、台湾人の著者が、台湾語・中国語・日本語の三つの言語のはざまで、揺れ、惑いながら、ときには国境を越えて自身のルーツを探った四年の歩みです。両親が話す中国語は鞭をもって覚えさせられたものであり、祖父母が話す日本語も同様に覚えさせられたものだと知った著者が辿りついた境地とは。


 


 


●著者略歴


温又柔(おん・ゆうじゅう)


作家。1980年、台湾・台北市生まれ。3歳の時に家族と東京に引っ越し、台湾語混じりの中国語を話す両親のもとで育つ。


2006年、法政大学大学院・国際文化専攻修士課程修了。


2009年、「好去好来歌」ですばる文学賞佳作を受賞。


2011年、『来福の家』(集英社)を刊行。同年9月から白水社のHPで「失われた〝母国語〟を求めて」の連載をスタート。(20155月まで)


2013年、音楽家・小島ケイタニーラブと共に朗読と演奏によるコラボレーション活動<言葉と音の往復書簡>を開始。同年、ドキュメンタリー映画『異境の中の故郷――リービ英雄52年ぶりの台中再訪』(大川景子監督)に出演。