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【映画】新年台湾映画祭:台湾金馬奨で主演女優賞、台北電影奨主演男優賞受賞作「GF*BF (女朋友。男朋友)」

●上映作:


GF*BF (女朋友。男朋友)


1985年、1990年、1997年、2012年の台湾を舞台に、1人の女性と2人の男性の友情と恋愛を描いた青春映画。第49回台湾金馬奨でグイ・ルンメイが主演女優賞を、第14回台北電影奨でジョセフ・チャンが主演男優賞を受賞した優れた台湾映画。


 


●監督・脚本:ヤン・ヤーチェ


●出演:グイ・ルンメイ、ジョセフ・チャン、リディアン・ヴォーン


  チャン・シューハオ、レナ・ファン、ティン・ニン


●日時:


   2016年1月22日(金曜日)16時開演 (15時半開場)


 (入場無料、予約必要、日本語字幕あり)


◇予約申込み先:


MAIL: moctokyo@gmail.com    電話: 03-6206-6180


イベント名、参加者全員の氏名、代表者の連絡先(携帯電話番号かメールアドレス)をお知らせください。(電話受け付けは平日10時-17時になります。メールの方は予約完了の返信メールをお送りします。それが届かない場合は、お手数ですがもう一度ご連絡をお願いいたします。)


自由席です。開演時間までに入場いただけない場合、見やすい席を確保できない場合があります。


会場


台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
(東京都港区虎ノ門1-1-12 虎ノ門ビル2階) 


Introduction――――――――――――――――――――― 


 想いの深さだけ、僕たちは心に嘘をついた。 


美宝(メイバオ)は忠良(チョンリャン)が好き。心仁(シンレン)は美宝に片想い。そして、忠良が好きなのは――。1985年から2012年までの激動の台湾社会を背景に、3人の男女の切ない愛と友情を描いた感動の青春映画。自由ではないものの情熱に満ちていた時代、その後民主化された台湾で、それぞれの関係に傷つき悩みながら年齢を重ねていく彼らが選択した幸せとは?



監督はデビュー作の『Orzボーイズ!』(08)が評価されたヤン・ヤーチェ。80年代後半から90年代にかけて青春を送った監督が自ら脚本を手がけ、自身の経験を踏まえて時代の雰囲気を巧みに映し出した。ロケ地の7割を占めたのは主人公たちの故郷である高雄だが、そのほかにも基隆や台北、新竹など数十ヶ所でのロケを行い、美術においてもできるだけリアリティを追求したという。また、シンガーソング・ライターの羅大佑が1984年に発表した『家』や、70年代の台湾民謡をベースにした『美麗島』をはじめとする歌も本作の重要な要素となっている。



そして、監督の期待に応えるべく3人の俳優が入魂の演技を披露している。報われない愛に苦しむ美宝に扮したグイ・ルンメイ、誰にも言えない想いを抱える忠良役のジョセフ・チャン、自由のために闘いながらやがて変節する心仁を演じたリディアン・ヴォーン。彼らに求められたのは高校、大学、社会人という3段階を演じ分けること。加えてジョセフ・チャンは40代を演じる必要もあった。3人がそれぞれ難しい役柄に挑戦して見事に演じ切ったことにより国内外で高い評価を受けた本作は、彼らの代表作となった。おそらく今後も代表作として、彼らのプロフィールのなかで輝き続けることだろう。


Story――――――――――――――――――――――――――― 


 彼と彼女、彼女と彼、彼と彼の、27年間にわたる愛の物語。 



2012年、台北。ある中学校で短パンをはかせろという学生の抗議運動が起き、それを先導した双子の生徒の保護者が学校に呼び出された。忠良(チョンリャン)だ。書類上「兄」になっている娘たちとの関係を騒動の原因と結びつけたい教師に対して忠良は「まぎれもなく自分が父親だ」と答える。 


1985年、戒厳令下にある台湾。南部の街・高雄で窮屈な高校生活を送る美宝(メイバオ)、忠良、心仁(シンレン)。彼らは、夜店で発禁本を売り、生徒を監視する教官にささやかな抵抗をする一方で、バイクを走らせたり渓谷で戯れたりと、厳しい校則や思想統制に縛られる日々の中でも青春を謳歌していた。男勝りな美宝と彼女を優しく見守る忠良は公認のカップルだったが、ある日、忠良から「ただの友だち」と聞かされた心仁は、隠していた自分の気持ちを美宝に告白。いつまでたっても忠良に恋人として扱われず本心を知りたいと思っていた美宝は、伝え聞いた決定的な言葉に失望して、心仁の想いを受け入れることに。 


1990年、台北で同居しながら大学生活を送る忠良と心仁。スポーツジムでインストラクターとして働く美宝と、民主化運動の学生リーダー的存在となった心仁の恋人関係は続いていたが、美宝の心にはまだ忠良がいた。大規模な学生集会の夜、美宝は自分とは別に、心仁に女子学生の相手がいることを知る。間もなく、忠良は美宝に自分の愛する人の名を明かすのだった。 


 女子学生と結婚した心仁は、7年後、有力者の娘婿として成功を収めていた。彼との関係をずるずる続けている美宝は、彼の子供を妊娠。そんな2人と疎遠になっていた忠良は、妻子ある恋人との仲に悩んでいる。ある日、7年ぶりに再会した3人は、自分たちがかつてのように無邪気な関係には二度と戻れないことを悟るのだった…。


 PRODUCTION NOTES―――――――――――――――― 


 8090年代の台湾とある親子  


 198090年代の台湾を描きたいと希望していたヤン・ヤーチェ監督は「あの頃の台湾は情熱にあふれていた。ようやく自由を求めて声を上げ始め、自由のために誰もが情熱を傾けていた。それと比べると現在は安定しているが静かで冷たすぎると思う。あの頃の情熱を取り戻したくて、この映画を作った」と語っている。また、脚本を書く際に「ある男性が孤児を養子にして10数年育てたが、何らかの理由で世間には兄弟と公表していた。しかし、家では子供は彼をお父さんと呼んでいた」というコラムの記事から着想を得たそうだ。これが忠良と双子の関係に取り入れられることになった。 


42日間にわたる各地での撮影  


高雄を中心に基隆、台北、新竹などで42日間にわたって撮影された本作。特筆すべきは当時、学生運動が盛んに行われていた中正紀念堂でのロケだ。台北市電影委員会や政府の協力を得たことで、大規模な学生集会の様子が再現された。撮影にあたって国防、軍、警察から警備車両や鉄条網、バリケードなど、実際に暴徒を沈静化するために使われた道具を借りることができたことも撮影の大きな助けとなった。蒋介石を顕彰するこの施設での映画撮影は本作が初めて。また、3人の川泳ぎのシーンが撮影された屏東県の涼山瀑布は、監督が20数年前に訪れて印象に残った場所だという。撮影が行われたのは11月。冷たい水に何度も飛び込んだ俳優たちの苦労は計り知れない。


 監督の世界を体現した俳優たち  


ヤン・ヤーチェ監督も深く関わっていた『藍色夏恋』でデビューしたグイ・ルンメイと、当初同作の主役としてスカウトされたジョセフ・チャン。最後にキャスティングされたリディアン・ヴォーン。彼らはストイックなまでに役と向き合った。グイ・ルンメイは高雄の方言をマスターし、当時の社会運動についても資料を読みあさり学んだ。また、初めてのロングヘアに挑戦。この前がショートヘアの高校時代なので、一見かつらにも見えるがそうではない。実は髪の長さを考慮して、最初に40代の忠良のパート、次に大学時代、社会人、最後に高校時代という順序で撮影が進められたのだ。


 ジョセフ・チャンは元々心仁(シンレン)役を希望していたが、忠良と似た境遇に身を置く監督の知人の話に感銘を受けて、忠良を演じることを決意。4kg減量し、撮影時も夕飯をほとんど食べずに体重を保ったという。リディアンもキャリアは浅いながら、彼だけが持つ魅力を十二分に発揮した。


 


 Trivia――――――――――――――――――――――――― 


 “短パンが履きたい”  


 映画の冒頭に描かれる、忠良の双子の娘たちが煽動した抗議行動は、実際に2010年3月15日に台南女子高級中学(高校)で起きた事件がモデルとなっている。全校生徒2千人近くが朝礼中に制服の長ズボンを一斉に脱いで、下に着けていた短パン姿になった。新任の教官による厳しい制服指導によって「短パンは体育の時間だけ」「ジャージの上着ファスナーは制服の第二ボタンの位置まで上げる」などと強制されたことへの反発だったという。この抗議の結果、学校側が譲歩し短パンの着用が認められることになった。


台湾の戒厳令と学生運動   


台湾は1949年5月20日から1987年7月15日まで、38年と56日という世界最長の戒厳令下に置かれていた。軍による実質的な支配が行われたこの間は、中国共産党との戦争状態と見なされて言論・集会の自由が制限され、ストライキや授業放棄が禁止された。公共の場所での台湾語使用も禁止され、学校で台湾語を話すと体罰や罰金を課せられた。港湾都市の高雄と基隆には、深夜1~5時の夜間外出禁止令も出された。 


 劇中登場する学生集会は1990年3月16日から22日かけて実際に行われたもので“三月学連”“野百合学連”などと呼ばれる。全国の大学生約6千名が参加して、中正紀念堂で民主化要求を掲げた。


心仁の義父 


 大学卒業後に結婚した心仁の妻の父は、彼に「院長」と呼ばせているが、これは行政院長のことで首相にあたる。かつての学生運動の闘士が、時を経て体制側の人間になったことを端的に表している。


玉蘭とクスノキ  


 忠良の実家で家業として栽培されている玉蘭。モクレンと訳されることが多いが、日本でいう木蓮ではなく、正確にはモクレン科のギンコウボク(銀厚朴)のこと。まだ開花する直前に各地へ出荷するため、日没から夜にかけて摘み取り作業が行われる。映画の冒頭の、3人がヘッドライトを点けているシーンは、忠良の家の手伝いをしているというわけだ。花は食品の香り付けや芳香剤代わりに使われる。 


 美宝が腹痛(生理痛)の時に、忠良が摘んでそっと渡すのはクスノキの葉。日本で樟脳としてこの葉が使われたことから、台湾には日本統治時代にクスノキが多く植えられた。ツンとした香りから鎮痛効果が得られる。


Cast―――――――――――――――――――――――――――



林美宝(リン・メイバオ)役  


グイ・ルンメイ(桂綸 


19831225日、台湾出身。幼い頃からバレエを習い、高校時代は演劇活動をしていた。17歳の時にイー・ツーイェン監督にスカウトされて『藍色夏恋』(02)でデビュー。高校卒業後は淡江大学仏文科に入学。在学中にフランスに留学している。主な作品は『サウンド・オブ・カラー地下鉄の恋』(03)『言えない秘密』(07)『台北カフェ・ストーリー』(10)。最近は大陸や香港からも引っ張りだこで『密告・者』『海洋天堂』(10)『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』(11)『聖誕玫瑰/Christmas Rose(原題)』(13)など出演が続いている本作では金馬奨とアジア太平洋映画祭で最優秀主演女優賞を受賞。



陳忠良(チェン・チョンリャン)役  


ジョセフ・チャン(張孝全) 


19831228日、台湾出身。18歳の時に台北の地下鉄で『藍色夏恋』の主役を探していたイー・ツーイェン監督にスカウトされる。01年からモデルとして多くのTVCMに出演するかたわら演技活動を開始し、ドラマ「孽子」(03)で脚光を浴びた。その後、主演男優賞にノミネートされた『花蓮の夏』(06)で注目の存在となり、数々の映画やドラマで活躍。本作では台北電影奨最優秀主演男優賞を受賞した。主な作品に『台北の朝、僕は恋をする』(10)『失魂/Soul(原題)(13)などがある。行定勲監督作品『真夜中の五分前』(2014公開予定)への出演も話題に。


 


王心仁(ワン・シンレン)役  


リディアン・ヴォーン(鳳小岳) 


1988年3月10日、イギリス人の父と台湾人の舞台芸術家の母との間にフランスで生まれ、3歳のとき台湾に移住。小学校低学年を中国四川省で過ごし、少林寺で武術を学んだ。小学校3年の時に台北に戻って以降は、母に連れられて毎年フランス・アヴィニョン祭に参加するなど様々な文化に触れて成長。08年に映画『九月に降る風』で頭角を現したのに続いて『モンガに散る』(10)の大ヒットで人気俳優となる。本作では亜洲電影大奨(Asian Film Award)の助演男優賞にノミネート。12年には日本のドラマ「星の金貨」をリメイクした「白色之恋」に主演。


 


 Production――――――――――――――――――――― 


 監督・脚本:ヤン・ヤーチェ(楊雅喆) 


1971年7月17日、台湾出身。淡江大学マスコミュニケーション学科卒業後、広告会社の企画やアニメーションのシナリオなどを手がけ、舞台やTVドラマ、ドキュメンタリー、映画など様々な分野で監督、脚本家として活動している。02年にドラマ「違章天堂」が金像奨最優秀監督、脚本賞など各賞を受賞。その後も多くのドラマの監督・脚本家として評価された。映画監督としては08年の『Orzボーイズ!』がヒットし注目された。2作目の長編作品である本作では金馬奨をはじめ多数受賞し高い評価を受けた。また、『藍色夏恋』(02)では助監督を務め、イー・ツーイェン(易智言)監督とともにノベライズを手がけている。


製作:イェー・ルーフェン(葉如芬)『九月に降る風』 プロデューサー:リウ・ウェイラン(劉蔚然)『星空』 撮影:ジェイク・ポロック『星空』『捜査官X』『モンガに散る』 美術:リー・トゥンカン(李敦綱)『台北カフェ・ストーリー』 音楽:ジョン・シンミン(鍾興民)『Orzボーイズ!』 音響:ドゥー・ドゥージー(杜篤之)『父の初七日』 編集:リャオ・チンソン(廖慶松)『珈琲時光』『トロッコ』 チャン・チャーホイ(張嘉輝)『イップマン2』 


 


配給:太秦 宣伝協力:グアパ・グアポ


(C) 2012 Atom Cinema Co.,Ltd., Ocean Deep Films, Central Motion Picture Corporation, Huayi Brothers International Media All Rights Reserved


2012年/台湾/中国語・台湾語/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD105分】


公式HP www.pm-movie.com/gfbf