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台湾文化センターと誠品生活日本橋で台湾作家アンソロジー『我的日本』の著者舒國治さんを招いたイベント開催

2019年の台湾文学フェスタ兼台湾カルチャーミーティングの最後のイベントとして、台湾作家の日本に関するエッセイを集めたアンソロジー『我的日本――台湾作家が旅した日本』(白水社、呉佩珍編訳、白水紀子編訳、山口守編訳)の共著者で、エッセイストの舒國治さんを台湾から招き、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターで10月30日に作家で女優の一青妙さんとのトークが、誠品生活日本橋で31日に新書発表会が、それぞれ開催された。いずれも大勢の観客が詰めかけ、司会はジャーナリストの野嶋剛さん、通訳は台湾出身の作家・李琴峰さんが務めた。

『我的台湾』は昨年日本で刊行され、大きな話題を集めた。台湾の作家18人が日本へ旅した体験を綴った紀行文集だ。『鬼殺し』の甘耀明さん、『歩道橋の魔術師』『自転車泥棒』の呉明益さん、『ここにいる』の王聡威さんら、著書が日本ですでに翻訳刊行されている作家も多く含まれている。台湾のエッセイストの第一人者として文壇を牽引し 、本書の掉尾を飾る舒國治さんは、本書のなかで「門外漢の京都」と題して京都を描いている。

30日のトークでは、舒國治さんは「日本は清らかな水の国であり、素晴らしい木の国であり、小さな空間を大切にする国でもある。だから日本の豆腐は美味しいし、その豆腐で作った麻婆豆腐は台湾のものよりも当然美味しい。また、木のカウンターのある小さなバーや料理店では癒される気持ちになる。京都もいいが、東京も好きなので、いつか『門外漢の東京』という本を書きたい」と語った。『台北小吃札記』など優れた食物に関するエッセイを台湾で発表している舒國治さんは、エッセイを書く秘訣について「遊びながら、食べて、飲み、そして心に浮かんだ思いを素直に綴っていくことが大切」と述べた。

一方、一青妙さんは「台湾には日本の昭和の時代の文化や建築が残されている。昔の記憶を探しに台湾に出かけて、それを見つけると、台湾がとても好きになる。自分も少女時代の台湾を求めて台南に行き着いた」と語った。

舒國治さんは1952年台湾台北生まれ。世界新聞専科学校(現在、世新大学)映画制作科卒業。映画関連の仕事に従事した後、文学創作に注力。70年代末に短編小説で『村人遇難記』で時報文学賞を受賞し、作家として脚光を浴びる。83年から90年までアメリカに滞在。台湾帰国後、旅行の紀行文を多数執筆。台湾における紀行文学の礎を確立した作家として評価される。著書『門外漢的京都』『流浪集』『台北小吃札記』『台湾小吃行脚』など多数ある。