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台湾文化センター台湾映画上映会2026 -映画『甘露水』(原題:甘露水)トークイベント レポート

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彫刻家・黄土水の代表作で、台湾の国宝「甘露水」を追った必見のドキュメンタリー映画 リン・ジュンニー監督&ホアン・バンチュエン監督来日トークイベント開催‼


台湾駐日本代表処台湾文化センターとユーロスペースによる連携企画として、映画『甘露水』上映会が9月19日(土)にユーロ ライブにて開催された。上映前に、リン・ジュリン監督は、台湾初の近代彫刻家である黄土水を「尊敬する大先輩」と語り、『甘 露水』を大先輩へのオマージュと位置づけた。さらに、「私たちにとってドキュメンタリーは、ひとつの芸術表現です」と語り、 「これからご覧いただく『甘露水』は、皆さんがふだん観慣れているドキュメンタリー映画とは、すこしちがうかもしれませ ん。」と断った上で、「百年の時を超える旅をお楽しみください。」と観客に語りかけ、静かにスクリーンに光が映し出された。


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登壇者:リン・ジュンニー監督(右)、ホアン・バンチュエン監督(左)


百年の時を超えて、黄土水の思いを映す── 『甘露水』に込めた二人の監督の映画表現

『甘露水』は、リン・ジュンニー監督とホアン・バンチュエン監督による初の長編映画だ。「甘露水」は、台湾美術史における 伝説的存在である彫刻家・黄土水の代表作。1958年以降行方不明となっていたが2021年に奇跡的に発見され、台湾の国宝に指定 された。映画は、美しい16mm映像で「甘露水」の軌跡をたどりながら、黄土水が生きた時代と現代、フィクションと現実を交差 させて描いていく。 上映後に、リン監督、ホアン監督が再び登壇すると、会場から大きな拍手が起きた。まず、会場に集まった黄土水のご遺族、東 京藝術大学関係者、出演者、スタッフを紹介し、感謝を伝えた。台湾出身者として初めて東京美術学校に留学した黄土水について、 リン監督は「彼が青春時代を過ごした日本で、創作意欲に満ちていた時代に制作された『甘露水』に関する本作を、今日みなさん の前で上映することができて本当にうれしいです」と挨拶した。続けて、「『甘露水』を制作した翌年1922年、黄土水は創作へ の思いや情熱を綴った『台湾に生まれて』という文章を残しています。私たちは、そこに込められた彼のメッセージを映像で表現 したいと思いました」と、本作に込めた思いを語った。 本作の大きな特徴に、現代の芸術家たちへのインタビューや、フィクションが織り交ぜられていることがある。前半パートでは、 かつて黄土水が学んだ東京藝術大学を舞台に、学生たちが制作に向き合う姿も撮影されている。「かつて東京藝術大学で石彫に取 り組んだ黄土水は、その道具を自分で作っていました。東京藝術大学では、現在も自分の道具を作る伝統があると知り、100年後 の現在、同大学で学ぶ若き芸術家が制作に向き合う過程に興味を持った」と、ホアン監督は、東京藝術大学で学ぶ若き芸術家たち を撮影した理由について語った。


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ユーロライプ 台湾映画上映会


キュレーターのリム・カーワイが、「甘露水」は東京藝術大学で特別展が開催され、日本でも近年注目が集まっていることに言 及した。台湾の芸術や文化について学ぶ機会が少なかったという自身の世代について触れ、「黄土水がどういう理想を抱き、世界 とどうつながっていこうとしたのかを、自分たちで調べていきました」とリン監督。ホアン監督も、戦後の台湾について「失われ た文化を取り戻し、みんなが持っている記憶をつなぎ合わせていくことがある」と語った。「個人の歴史を通して、歴史を見ると いうスタイルで作ったのが、『甘露水』です」とリン監督。黄土水という一人の芸術家を通して、台湾の歴史と記憶を見つめ直す 作品となった。 黄土水を追う中で、彼自身が制作に対する情熱だけではなく、若き芸術家たちに向けた文章を多く残していることを知ったとい う。「自分自身だけではなく、同郷の志を持った若者たちに向けた情熱に触れ、非常に感銘を受けました。黄土水の残した思いを 忘れずに、作品を完成させていきました。」と、リン監督が作品に向き合う思いを語った。 リン監督、ホアン監督はいままでも16㎜フィルムなど、小型映画フィルムでの作品を多く手掛けている。「映画は、フィルム に銀の粒子が付着し、そこに光が当たることで画が作られていきます。ある意味では、それは彫刻のようなものです。大理石から 作られた「甘露水」という彫刻を、フィルムという彫刻で描いていく。そこにはふたつの対話という意味が込められています。」 とホアン監督が、フィルムという映像表現を用いた理由を明かした。 会場からは「記憶というものがとても大切に語られていたのが印象的でした。台湾の映画において、歴史というものが、個人を とても大切にしていると感じた」と感想が寄せられた。「数年前に東京藝術大学での展示でみた「甘露水」がまた観たくなった」 という感想には、台中にある国立台湾美術館の専用常設展示室で常設展示されているので、ぜひ見に行ってみてくださいと、リン 監督がほほ笑んだ。 最後に台湾映画の魅力について問われると、「私たちのようなこんな風変わりな作品でも制作することができ、様々なイデオロ ギーや観点をもつひとたちが、自由に創作できる。これこそが台湾映画、そして台湾の魅力だと思います。」とホアン監督が話す と、「非常に複雑な歴史を経てきた台湾には、様々な観点を持つひとがいて、それぞれの観点から語ることができるのがいいとこ ろ」とリン監督が答えると、その情熱に会場からは大きな拍手が送られた。


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登壇者:リン・ジュンニー監督(右)、ホアン・バンチュエン監督(中)×リム・カーワイ(『台湾映画上映会2026』キュレーター・映画監督)