大航海時代のフォルモサ、台湾。現在の台南安平一帯は草原と沼が広がり、数万頭ものサンバー(水鹿)が駆けていた。そこはシラヤ族の狩り場であり、台湾が初めて西洋文明に接触した場所でもあった。
新港社の青年ダライと欧州出身の土地測量士フィルは、タイオワン事件後に互いへの理解を深めるが、オランダと新港社は緊張関係に陥る。オランダの長官ノイツは新港社の敵である麻豆社と手を組み、海賊討伐隊を結成する。各勢力が騙し合いを演じ、情勢がものすごいスピードで変化する中、微妙な立場あるフィルは、どのような道を選ぶのか? 徹底した史実の検証と取材を基に、漫画家Kinonoが17世紀のシラヤ族の栄枯盛衰を色鮮やかに描く。
《蘭人異聞錄》© Kinono/蓋亞文化