台湾の新鋭作家・伊格言氏による、原発事故をテーマにした近未来小説『グラウンド・ゼロ 台湾第四原発事故』(倉本知明訳、白水社)が刊行されました。
福島第一原発事故後、台湾で第四原発の建設中止を求める運動が一気に高まったことを受け、伊格言氏は福島第一原発事故や台湾原発の入念な取材を行ない、本書を書き上げました。原書は2013年に台湾で刊行され、呉濁流文学賞及び華文SF星雲長篇小説賞をダブル受賞するなど高く評価され、大きな話題となりました。
同じく、今年2月に核の問題をテーマとした近未来小説『岩場の上から』(新潮社)を上梓した黒川創氏とともに、福島第一原発事故後どのような思いを持ち小説を構想したのかなど、自作について語っていただいた上で、作家同士の視点で話しあいます。日本と台湾の注目作家が、原発事故にどのように文学的なリアクションをしたのか。日本の読者へのメッセージとは――。
時間:2017年6月3日(土)14時30分から
司会:倉本知明
ゲスト:伊格言、黒川創*同時通訳有
会場:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター(東京メトロ虎ノ門駅より徒歩1分)
定員:80名(入場無料、予約制。30分前開場、自由席)※お一人様1通でご応募下さい。
ご予約の方は本ページ下の「参加申込」をクリックしてください。必要事項を記入のうえ、申込みいただくと、予約確認メールが自動返信されます(迷惑メールに分類される場合があります。事前に設定をご確認ください)。記入項目のCaptchaは「音声再生」の左のアルファベット4文字です。Captchaのエラーと時間切れの場合になりましたら、リロードしてもう一度ご記入ください。
【プロフィール】
伊格言(エゴヤン)Egoyan Zheng
1977年、台南生まれ。国立台湾大学心理学科、台北医学大学医学学科中退、淡江大学中国文学研究科修士。ペンネームの伊格言はアルメニア系カナダ人の映画監督アトム・エゴヤンから取ったもので、本名は鄭千慈。聯合文学小説新人賞や自由時報文学賞、林栄三文学賞など各種新人賞を受賞。2003年、短篇小説集『甕中人(大甕の住人)』がドイツのライプツィヒ、フランクフルト・ブックフェアの選書に選ばれ、新世代作家の一人として大きな注目を集めた。07年、マン・アジア文学賞にノミネートされる。10年に長篇小説『噬夢人(夢を噛む者)』、11年に詩集『你是穿入我瞳孔的光(君は僕の瞳に射し込んだ光)』、13年に二冊目の短篇小説集『拜訪糖果阿姨(アメ玉おばちゃんをたずねて)』を刊行。また、同年刊行の長篇小説『零地點 GroundZero(グラウンド・ゼロ)』で呉濁流長篇小説賞及び華文SF星空長篇小説賞をダブル受賞するなど、台湾の国内外で高く評価されている。現在は国立台北芸術大学で講師を務めながら、文学評論などを含めた幅広い執筆活動を続けている。
黒川創(くろかわ・そう)
(写真提供:新潮社)
1961年、京都市生まれ。同志社大学文学部卒業。19年、初の小説『若冲の目』(講談社)刊行。08年『かもめの日』(新潮社)で読売文学賞、14年『国境 完全版』(河出書房新社)で伊藤整文学賞、15年『京都』(新潮社)で毎日出版文化賞を受賞。おもな小説に『もどろき』(新潮社)、『明るい夜』(文藝春秋)、『いつか、この世界で起こっていたこと』(新潮社)、『暗殺者たち』(新潮社)など。評論に『鴎外と漱石のあいだで――日本語の文学が生まれる場所』(河出書房新社)、鶴見俊輔・加藤典洋との共著『日米交換船』(新潮社)など。編著に『〈外地〉の日本語文学選』全三巻(①南方・南洋/台湾、②満洲・内蒙古/樺太、③朝鮮)(新宿書房)、『鶴見俊輔コレクション』(河出文庫)全四巻ほか。
○『グラウンド・ゼロ 台湾第四原発事故』伊格言著、倉本知明訳(白水社、2017年5月2日刊行)
2015年10月、台北近郊の第四原発が原因不明のメルトダウンを起こした。生き残った第四原発のエンジニア・林群浩の失われた記憶の断片には次期総統候補者の影が……。脱原発へと台湾社会を突き動かした衝撃の至近未来サスペンス!
http://www.hakusuisha.co.jp/book/b285562.html
○『岩場の上から』黒川創著(新潮社、2017年2月28日)
2045年、北関東の町「院加」では、伝説の奇岩の地下深くに核燃料最終処分場造成が噂されていた。鎌倉の家を出て放浪中の17歳の少年シンは、院加駅前で“戦後100年”の平和活動をする男女と知りあい……。日本の現在未来を射抜く壮大な長篇小説。
http://www.shinchosha.co.jp/book/444408/