日本語教育を受けた台湾人作家・楊逵(ヤン・クイ、よう・き)は、1932年(昭和7年)に日本語で小説「新聞配達夫」の前半部分を発表しました。そして、2年後、彼は後半部分を加筆した「新聞配達夫」で東京の雑誌「⽂芸評論」の懸賞に応募し、第二席という高い評価を受けました。彼の作品は、日本内地のプロレタリア⽂学への共感が濃厚であったといいます。「新聞配達夫」は後に「送報伕」として中国語訳もされました。
本講座は、行政院文化部により台湾文学と映像をリンクさせて製作された「閲読時光」シリーズの短編を映像テキストとし、映像と文学の関係、作家の生きざまと時代を探るものです。社会派作品を多く発表してきた鄭⽂堂(チェン・ウェンタン)監督により映像化された『送報伕』を鑑賞するとともに、台湾文学を研究されている藤井省三先生に、楊逵と「新聞配達夫(送報伕)」についてレクチャーしていただきます。そして、ともにこの映像と⽂学の関係を探り、楊逵という日本語で書いた台湾人作家の存在について考えます。講座後半では、参加される皆さんと意見交換をしながら、より深い理解と興味喚起を目指します。
楊逵はどんな思いで日本語を綴ったのでしょう?
楊逵は後世にどんな影響を及ぼしたのでしょう?
鄭文堂監督はどんな思いでこの短編を撮ったのでしょう?
皆様のご参加をお待ちしています。
講師:藤井省三(東京大学文学部教授)
1952 年生まれ。日本学術会議会員(2005~2014)。専攻は現代中国語圏の文学と映画。
主な著書:『魯迅と日本文学――漱石・鷗外から清張・春樹まで』(東京大学出版会、2015)、『魯迅――東アジアを生きる文学』(岩波新書、2011)、『中国語圏文学史』(東大出版会、2011)、『村上春樹のなかの中国』(朝日新聞社、2007)、『台湾文学この百年』(東方書店、1998)、『中国映画 百年を描く、百年を読む』(岩波書店、2002)など。
ナビゲーター:稲見公仁子(台湾映画研究家、台湾影視研究所)
【日時】7月15日(土)15:00~(開場 14:30、17:00終了予定)
【会場】台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
【入場無料・予約制】定員120名
申込方法:
たくさんの申込ありがとうございました。
満員になりました。
【主催】台北駐日経済文化代表処台湾文化センター、台湾影視研究所